Cute Movies
観はじめてまもなく「コレは失敗かな?」と、ここから出たらどこに行こうかと新宿の町並みを思い浮かべたりした。
説明的な描写がなく、ヒステリックなシーンが続くのを観ていると、席を立つタイミングをつかみ損ねてしまい、いつのまにか引き込まれてしまった。
主人公あやこ(中村優子)は家族愛に恵まれずに育ったストリッパー。
陶芸家の大司(永瀬俊矢)と出会い、今までの孤独な人生の中で満たされた事のない愛情を手さぐりで求めていく。
大司もまた家族愛に恵まれず、天涯孤独の身になって間もない男。
二人は今までの人生の中で欲して止まなかったものを強く求めあっていく。
監督の河瀬直美氏は、1997年カンヌ国際映画祭で、カメラ・ドール(新人監督賞)を史上最年少(当時、仙頭姓)で受賞し、北野武監督の受賞と共に話題になったので、覚えている方も多いかもしれない。
河瀬監督自身が祖母に育てられた生い立ちから、人の愛と孤独をテーマとして表現していこうとしている人だから、ラブシーンがリアルであればあるほど、この映画をみているとせつなく悲しくなってしまう。
河瀬監督は、これからもせつない映画を撮りつづけていくのかもしれない。
古都 奈良の美しい自然、東大寺二月堂や元興寺の歴史ある風物詩、あやこの養母であるストリッパー恭子の魂のダンスは古代神話を思わせる。
すこし重い映画だけれど、時々はじっくりと観る映画もいいかなぁと思う。
「かたつもり」「萌の朱雀」は観ました?
text by... ris
2002/04/16